転職とキャリア
慶應義塾大学の樋口美雄の調査によれば、フリーターが5年後もフリーターでいる確率は、10-20代では50%台なのに対し、30代を超えると70%になるという[8]。さらにそのまま40代、50代ともなれば正社員の道はほぼ閉ざされる。そのままフリーター就労形態を継続するものもいるが、そうした生活環境が固定化する上に、家族からも切り離される場合もあり、結果として浮浪者になるものが多数出るという。 看護師 求人 [編集] 増加の影響 [編集] 少子化 樋口は(フリーターの増加は)「結婚率の低下や出生数の減少といった社会の活力を失わせる事態にもつながる」([8]より引用)と指摘している。 仕事 山田昌弘の見解では、「ずっとフリーターの状態から抜け出せないと、一生低収入、やりがいのない仕事が続き、将来への希望が持てない状態が続くことになる。これは社会の活力が失われる」とされる[10]。 中小企業庁は 正社員と非正社員とでは正社員の方が年収が多く、大きな格差があること パート・アルバイトは「結婚しない理由」にお金が無いことを挙げる割合が高いこと 「配偶者や子供がいる割合」は概ね所得の高い層に多く、所得が低くなるに従って未婚率が高くなる傾向があること を示し、フリーターの増加が少子化を助長すると分析している[11]。 スカウト 配偶者および子供がいる者の割合(%) 所得\年齢 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳 35〜39歳 〜99万円 0.7 0.6 10.8 12.8 100〜199万円 2.3 7.9 19.1 30.0 200〜299万円 4.2 11.4 25.2 37.9 300〜499万円 7.8 18.9 37.8 51.1 500〜699万円 8.2 28.9 50.5 62.4 700万円〜 10.3 27.1 52.0 70.7 資料出所:2006年版 中小企業白書(中小企業庁) [編集] 税収 フリーターは所得が低く納税額が少ないため、税収面で問題が生じるという指摘がある[8]。 [編集] 対策 政府は2010年までに、フリーターをピーク時の8割(約174万人)に減少させるという目標を掲げている。現在、政府がフリーター対策として検討しているものには、以下のようなものがある。 ほとんどが15〜34歳までの若年者対象であり、35歳を超えた人に対しては何ら対策がされていないも同然である。 転職サイト [編集] 就業支援 内閣府はフリーターに対する就業支援策として、職業能力の開発に主眼をおいた制度の拡充に取り組んでいる。しかし多くのフリーターは「学習時間が固定されている」「通学時間を確保できない」「経済的なゆとりが無い」等の理由から、こうした制度を活用する事ができず、さらに踏み込んだ内容の支援策が求められている。 [編集] インターンシップ 学生が在学中に企業に赴き、職場体験を行う制度。フリーターになる要因の一つとして、働くことの意味を考える機会が少ないことが指摘されており、インターンシップで職場体験の機会を得ることによって、職業観を醸成することができるとされている[12]。 [編集] 日本版デュアルシステム 失業者やフリーターを主な対象者とし、企業や各種専門学校と連携しながら、原則無償(1年以上は有料)で就職を支援する制度。しかし「期間が短い」「分野が限定的」などの問題も指摘されており、より充実した内容の支援策が求められている。 [編集] トライアル雇用 原則3ヶ月の試用期間を経験し、その後、雇用主と求職者の双方の合意によって、正社員に採用されるという制度。2001年12月より実施。対象者は35歳未満の求職者で、申し込みはハローワークを通じて行う。雇用主には奨励金が支給される等の利点があり、求職者には就職の機会が広がるという利点がある。ちなみに2004年度はこの制度を利用した人の8割(約3万人)が正社員として採用された。 [編集] ジョブカフェ 若年者を対象とする就業支援施設。単に仕事を紹介する以外にも「就職基礎能力速成講座」など、就職に役立つセミナーなども開催されている。 [編集] 価値観の転換 他方、経済思想家の日下公人は、フリーター・ニートは江戸時代でいえば「風流人」、夏目漱石のいいかたでいえば「高等遊民」なのだとして、「フリーターやニートを無気力な人間などというが、彼らは時給900円を捨てる勇気があるひとたちなのだ」と、価値観の転換を提唱している[13]。 [編集] 雇用における年齢制限の禁止 雇用対策法や平成16年12月に施行された高年齢者雇用安定法などにより、企業には雇用の際の年齢制限をしないという努力義務があったが、年齢制限による門前払いを防ぐため、自民・公明党による与党協議会で、雇用対策法改正案で年齢制限の禁止を努力義務から禁止事項にすることで合意している[14]。この改正によって平成19年10月1日から労働者の募集・採用時に年齢制限を設けることが禁止された[15]。しかし、選考は企業側の裁量に委ねられるため、高年齢求職者の採用増加に結びつくとは考えにくいとの意見も存在する[要出典]。 [編集] 教育 文部科学省はフリーター増加の問題を受けて、学校教育における職業観の醸成や、職業能力の向上に注力している。その一例については後述するが、文部科学省が教育面を重視しているのは「若年層の就業意識の低下がフリーター増加の原因である」という考え方に基づくものである。 [編集] キャリア教育 文部科学省は近年、フリーター・ニートの増加が、若者のモラルの低下が主因であるとの判断から、通常の授業時間を削減し、企業側の要請に応じた様々なキャリア教育を推進している。 [編集] キャリア育成支援 職場体験、トライアルウィークなどとも言われる。主に中学2年生を対象とした就業体験プログラム。地元の企業と連携し、1日〜5日間、生徒は学校を離れ、様々な仕事を実体験する。なお2004年の公立中学校の実施率は89.7%となっている。 [編集] 予防授業 文部科学省の委託事業として、小中高校の主に総合的な学習の時間などで「フリーター・ニートになる前に受けたい授業」と題するワークショップを2007年4月まで実施されていた(現在も助成金はついていないものの継続されている)。内容は主に「フリーターやニートになるのは本人の甘えや努力不足が原因であるから、そのような生き方を選択しないように」というもの。しかし、バブル崩壊以降の採用抑制・採用基準の引き上げがフリーターやニートを生む一つの原因となったことを考えると、このような内容の授業は不適切であるという指摘もある。 [編集] 労働組合 従来は労働組合が企業別に組織されることが多く、フリーター(アルバイト)が加入する事例は僅かであった。しかし、近年は雇用形態に関係なく加入を呼びかける労働組合が増えつつある。また個人加盟が可能な労働組合にフリーターが加入する事例も増えつつある。例えばフリーター全般労働組合は、フリーター、失業者などを不安定な生活を強いられている階層(プレカリアート)と位置づけて加入を呼びかけており、首都圏青年ユニオンも非正規雇用の労働者に対し加入を呼びかけている。 既存組合も組織率の低下にともない、パート・アルバイトへの組合への加入を呼びかけているが、フリーターの労組加入率は極めて低いのが現状である。 [編集] 海外 [編集] 外国の雇用形態 EUやアメリカでは、同じ仕事に従事する人の中に、フルタイムで働く人と短時間で働く人がいるという感覚で、日本のような「正社員・非正社員」という概念が無いところが多い。労働者全員を同基準の待遇とすることで失業者の解消を目指すワークシェアリングを実施する国もある。 [編集] 各国の対策 ワークシェアリングも参照 イギリスでは1979年に短時間労働者を対象とした操業短縮保障制度が、1987年にはフルタイム労働を分割してパートタイムを増加させることを目的とした作業分割制度が導入された。 オランダではワッセナー合意以降、パートタイマーの比率が83年の18.5%から2001年には33.0%に上昇し、失業率は2001年には2.4%まで下落、実質GDPの伸び率も2〜4の安定成長を実現した。 ドイツでは2001年のパートタイム労働及び有期労働契約法がある。同一労働同一賃金や、パートへの差別を禁止している。 [編集] 関連項目 労働力 労働経済学 労働基準法 ワークシェアリング パートタイム労働法 正規雇用 非正規雇用 プレカリアート 求人 採用の自由 就職難 退職 失業 出稼ぎ 貧困 ワーキングプア ネットカフェ難民 ニート 家事手伝い フリーランス キッザニア(実在する企業が出展している、子供の就職体験施設。) 銭形金太郎(フリーターがよく取り上げられている、テレビ朝日のバラエティ番組。) フリーター (1987年の映画)(フリーターたちの活躍を描いた劇場映画。リクルートフロムエー5周年記念作品) [編集] 外部リンク 厚生労働省:白書、年次報告書等-労働経済白書 UFJ総合研究所「フリーター人口の長期予測とその経済的影響の試算」 内閣府、経済社会総合研究所「フリーターの増加と労働所得格差の拡大」(2005年5月25日) フリーター全般労働組合 クローズアップ現代 放送記録-急増 一日契約で働く若者たち2002年1月21日(月)放送 【BSディベートアワー】-2003年11月のテーマ:防げるか?若年失業2003年11月30日(日)放送 NHK SPECIAL HOME PAGE-21世紀 日本の課題 フリーター417万人の衝撃2004年3月7日(日)放送 NHK SPECIAL HOME PAGE-21世紀 日本の課題 フリーター417万人の衝撃s2004年3月7日(日)放送